あのちょー久しぶりに書きました。
書き方とかもう全然忘れているようでどんなものでしょうか。
もう泣きそうです。
自分の未熟っぷりに。
では覚えている方第18話どうぞ。
僕は忘れていました。何話目なのかさえ。
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「ホントに助かったわー。ありがとー」
ラピスとキィは水晶の持ち主である女性に案内され、ペリオンの市場を外れたところにある占いの店「ギャップ」に来ていた。占いの店とは言っても館のようなものではなく、木陰に三角錐のテントを張った簡素なものである。
中もやはりそうで、テーブルと椅子が数個あるだけだ。
ちなみに紅玉は水晶を盗んだ犯人を「機関」のペリオン支部に連行していて今はいない。もっとも本人は占いに興味はないらしく、場所を聞いた後「外で待ってるから終わったら呼んでくれ」と言いつつ行ってしまった。
「あ、ありがとうございます。お気を遣わず…」
女性にお茶を出され、礼を言うキィ。
ラピスが早速お茶に口をつける。
「水晶、戻ってきてよかったですね、おねーさん」
「そうそう、よかったー。この水晶はねー、エルナス地方の奥地で…ええとなんだっけ?」
「あの僕に疑問形で聞かれても…」
「…とにかく結構手に入りにくいのよね。何と言っても占いの雰囲気が出るでしょ?雰囲気が!」
「…は、はぁ」
とりあえず肯定する。雰囲気がというあたりもしかしたら占いで本当に必要ではないのかも…とキィは思ったが胸にしまっておく。代わりに何か質問してみることにした。
「こちらで占いを始めて長いのですか?ええと…」
名前を呼ぼうとしたのだが続かない。
「そういえばあたしの名前まだだったっけ。あたしの名前は沙希。ジパング出身よ。よろしくねー!あ、あとあたしは結構色々な場所を転々としてるからここはそんなに長くはないかな」
「そうなんですか…。そういえば僕達もまだ名乗っていませんでしたね。キィと申します。それでこの方が…」
「ラピスです!」
片手を上げて元気のいい挨拶。もうすでにそのカップは空だ。
「おねーさん、ちょっと思ったんですけど」
「なーにラピスちゃん」
「お店するんだったらもっと市場の近くで開いたらお客さんたくさんくるんじゃないですか?」
「ああ、そうね。そうなんだけど…理由があるの」
テントの出入り口を指差しながら沙希が続ける。
「ここからちょっと離れたところに崖が見えるんだけど、そこで男の人がよく瞑想してて。マンジって人なんだけどすごくかっこいいの!この場所ならテントの外に出たらよく見えるから」
「え、マンジさんですか…」
「マンジ様を知ってるの!?」
驚いた表情を見せる。
「ええまあ…というかペリオンでは有名というか名物ですしね」
キィの方は沙希がマンジに様付けで呼んでいることに少々驚いた。
マンジ。極端に無口な上に他人を寄せ付けないオーラを身にまとっていることで有名な男である。かつては腕の立つ冒険者だったそうだが、今はもう活動せずペリオンでよく瞑想している姿が見かけられる。
彼が冒険者をやめたのはなぜなのか。それは彼自身にしかわからないのであろう。
「ホントかっこいいよねー!あの背中がなんとも言えないのよー」
そういう沙希の目線は遥か彼方へと飛んでしまっている。
「お、お茶ありがとうございました。それでは僕達はこの辺りで…」
いわゆる恋する乙女(乙女といえる年齢かどうかはわからないが)状態の沙希にこのまま付き合っていると長くなりそうだと思ったキィはその場を離れようとした。
「あ、あ、ちょっと待って!」
風船が割れたようにハッと我に返った沙希が二人を引き止める。
「水晶のお礼に占いさせてくれないかなー?」
「じゃああたし占ってみてくださいっ」
これに真っ先に食いついたのがラピスだった。
「それじゃあ、ラピスちゃんから。…あ、キィくんは外で待っておいてほしいな。あたしは基本的に1対1でやるから。ごめんね」
「わかりました。では席を外しますね」
「ラピスちゃんが終わったらキィくんの番だからねー」
背中にその声を受けつつテントを出て行くキィ。
外に出ると少々離れたところで背の高い黒コートの男(さらにサングラスをかけているのでもはや誰も気軽に話しかけないだろう)が煙草を吸いつつ立っていた。紅玉である。
「早かったですね」
「まァな。嬢ちゃんは?」
吸っていた煙草を携帯灰皿にしまう。
「今占いをしてもらってます」
「そうか…。それにしてもアイツ、噂は聞いてるんだがここでずっとじっとしててよく耐えられるよな…」
そのサングラス越しの視線の先には崖があって、そこには三度傘と長髪の男―マンジだ―がいた。
(久しぶりですし…少し挨拶でもしてみましょうか)
マンジのいる方へ歩き出すキィ。紅玉はその動きを見つつ自分は動かずにもう一本煙草を探し、コートの中を探る。
「あァ、ポケットにもう煙草がねぇな…」
「ポケットに入ってるそれ…さっきから気になってるんだけど…。ああ、別に取り出さなくても。ただちょっとそれは結構力の強いものだから大事にしていた方がいいよー」
キィが出て行き、沙希がラピスへ一番最初に振った話題はそれだった。
ラピスは沙希に話を振られて胸ポケットから指輪を取り出していた。
「これ…前にも他の人に似たようなこと言われたんですけどそんなにすごいんですか?」
琥珀色の宝石がついたそれをまじまじと見つめる。
「うん。なんていうかねー、例えば…この水晶も結構すごいんだけど、それを小さいかけらなのに上回ってると思う。ヒールってスキル知ってる?エネルギーの属性としてはそれにすごく近い感じかな。これ持ってたら命が助かりそうにない危険な状態でも助かるかも」
「そう…なんですか。大事にしますね」
言われなくても母から受け取った大切な指輪なので大事にはするが、この話を聞いて改めてそう思った。
「そのほうがいいよー。それを狙ってくるわるーいひとなんて旅してたら結構いるかもだからね。ラピスちゃんだけじゃ大変だろうから…キィくんだっけ、あの子にでも護ってもらわないとね♪」
にこにこと微笑む沙希を目の前にラピスは少し返答に困っていた。
「あ、占い占い。とは言ってもあたしにできるのは未来を視たアドバイスぐらいだけどねー」
「え、未来を視るって…」
「まあまあ。…ちょっとラピスちゃん、この水晶に手を置いてもらっていい?」
「いいですけど…」
テーブルの中央に置かれた丸っこいそれに右手を置く。水晶だから冷やっこいと思っていたが意外と暖かかった。そして、ラピスの右手にそっと両手を重ねる沙希。
「過去、現在、未来。全てはひとつの扉に。ミスティックドア!」
目を閉じてそう小さくつぶやくと、水晶が一瞬光ったようになり沙希の体はがくん、と意識が落ちたようになる。数秒経ってもそのままなのでさすがにラピスが話しかけようとした時、沙希が目を開く。
「そっか…結構大変だったのね…」
同情と慈しみがこもった目をラピスに向ける。
「今ラピスちゃんが旅している理由も分かったし、今からどうなるのかもなんとなく分かったわ。でもそれらを全て言うことはできないの…ごめんね。でも、少しなら」
「…お願いします」
「ラピスちゃんはこれからまだまだ大変だわ。望むような結果になるかもしれないし、ならないかもしれない。でもあなたならきっといい方向に持っていける。希望をなくさないで」
「あなたの場合結構重要なことばかり視えたから抽象的にしか言えないけど…。自分で『なんとなく』でも思ったことは試してみることね。好奇心とその行動力で結構成功するはず」
「うーん、よくわからないですけど…なんとなくわかりました」
ラピスは水晶に乗せていた右手を戻して頭をぽりぽりかき、困ったようなそんな笑顔で返答する。
「なんとなく、なのね。そう、それでいいわ」
対する沙希の表情はにこやかだ。
「占い、ありがとうございました!キィさん呼んできますねっ」
「待ってるわねー」
元気よく飛び出していくラピスの背中に手を振って見送る。
(希望をなくさないで、にラピスちゃんの家族みんなの意味を含めたけど…気がついたかしら?)
「あ。あたしもちょと外に出てマンジ様の様子見てみよーっと」
威厳のあるその男の背中。近寄るな、との雰囲気をかもしだしている。
それでも近づく者がいた。赤い陣羽織を身にまとい、赤いずきんで髪をまとめたその男。
キィだ。
「…お前か」
先に口を開いたのは意外にも背中を見せている男―マンジ―だった。ほんの一瞬だけ視線をキィに向けた後、すぐに戻してしまった。
「お久しぶりです、マンジさん。相変わらずですね」
軽く会釈する。マンジには見えているか分からないが、とりあえず挨拶するキィだった。
「何しに来た?」
「…いやぁ、近くに寄ったものですから久しぶりですし挨拶ぐらいは、と」
マンジからの返答はない。すごくやりにくいなとキィは思っていたが、マンジに話しかけるといつもこうなので慣れていると言えば慣れている。
「そうそう、天地さんに会いましたよ」
さすがに天地の話を出したら何かしらの反応を見せるだろう…と思いきや何も言葉は返ってこない。仕方なく続ける。
「よろしくと言ってました。あとお兄さん大好き♪とも」
「…つまらん事を言いにきたのなら斬るぞ…?」
キィとしては殺伐とした雰囲気を少しでも和ませようとした努力が先の言葉の後半に現れていたのだが、マンジのこの言葉に冗談は含まれていないようで、本当に斬られかねない勢いだ。現に刀の柄に手が伸びている…様な気がしないでもない。
「じゃ、じゃあ僕はこの辺りで。体には気をつけてくださいね」
とりあえずこの場を離れた方がよさそうだと判断したキィは挨拶もそこそこに立ち去ろうとした。
しかし。
「待て」
意外にも引き止められた。
「頼みがあるのだが」
「…頼みですか?」
「ああ」
―――――――――――――――――――つづく。
はい、というわけで恥ずかしい猫石の自己満足小説第18話の終了ですよ。
こんな感じで続きます。
読んだ方いかがでしたでしょうか…
もう続き書きたくないぐらい恥ずかしい
ばかじゃないの自分。
というわけでまた次回をお楽しみに!(する人いるのか!!